シンプルは「引き算の結果」であって、「足し算の放棄」ではない。

「シンプル イズ ベスト」という言葉があります。

とても有名で、デザインに関わっていなくても耳にしたことがある人が多いと思います。

この言葉自体は嫌いじゃないし、たしかに“シンプルなデザイン”には強い魅力があります。

でも最近、ふとした瞬間に「これは最初から“シンプル”を目指して作ったのかな?」と感じる場面に出会うことがあります。

もちろんそれが悪いわけではありません。

ただ僕は、シンプルとは、いろんな可能性を試した先に“ようやくたどり着ける場所”だと思っているんです。

デザインは、目立ちすぎても伝わらないし、詰め込みすぎても混乱させてしまう。

だからこそ一度、要素を集めて、組み合わせて、向き合って、検証して…

そのプロセスを経て、「これだけで十分」と言える形にする。

それが、僕にとっての“シンプル”です。

僕が考えるデザインは、売れるために、伝わるために、どう組み立てていくか。

デザインという技術を使って、その道筋を作る仕事です。

「シンプルにすること」が目的になってしまうと、

本来伝えるべきことまで削ぎ落としてしまうことがある。

だから、まずはたくさんの情報を受け止めて、ちゃんと考えて、絞り込む。

その結果として生まれる“引き算のデザイン”は、とても力強い。

僕自身も、ときどき「見た目を整えること」が目的になりそうな瞬間があります。

でも、そのたびに立ち止まって、「伝えるために必要な形になっているか?」と問い直すようにしています。

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